【シリアの旅】ヒジャーズ駅@ダマスカス [シリア]
シリアの首都、ダマスカスの市内中心部にある「ヒジャーズ駅」。
ここは駅と言いつつ、今は駅舎しか残っておらず、駅の機能はありません。
実際に機能しているダマスカスの駅は郊外にあるカダム駅です。
ではなぜこんな市内の真ん中に役に立たない駅舎だけがあるのか。
実はこの駅はかつてヒジャーズ鉄道の始発駅でした。
ヒジャーズ鉄道は20世紀初頭に敷設されたオスマン帝国の鉄道です。
ダマスカスから出発して、現在のサウジアラビアにある
イスラムの聖地、メディナまで続く路線でした。
この時代、アラブ諸国はオスマン帝国の支配下にあり、
ヨーロッパ列強の後押しを受けて各地で民族運動が活発化してました。
オスマン帝国の狙いはそんな不安定な地域に鉄道を走らせることで、
統治を強化することにありましたが、アラビアのロレンス率いるゲリラ軍の
攻撃などにより破壊され、その後オスマン帝国が崩壊し、
各国に分裂したことから、ヒジャーズ鉄道は廃線となりました。
現在もダマスカスーアンマン間は路線が残っていますが、
駅はヒジャーズ駅ではなくカダム駅が使われています。
何十年も前からヒジャーズ駅を復活させる計画もあるようですが、
昨今の政治情勢もあり、しばらくはそれどころではなさそうです。
ちなみに、今は鉄道駅としては使われていませんが、
入り口にはかつて使われていた蒸気機関車が展示されており、
また一応駅らしくカダム駅の時刻表も掲示されていたりと、
随所にかつて駅だった面影を見ることができます。
※本記事は2010年5月に訪問したときのものです。
現在のシリアの情勢等は外務省のホームページでご確認ください。
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【シリアの旅】街角のキリスト像@ダマスカス [シリア]
シリアの首都、ダマスカス。
ここダマスカスは世界で最も古い都市のひとつで、ペルシャやギリシャの時代から、
ローマ帝国の時代を経て、宗教もユダヤ教、キリスト教、イスラム教徒変遷してきました。
その重層的な歴史が都市の構造にも反映されており、
「まっすぐな道」を挟んで、イスラム教徒地区、キリスト教地区、ユダヤ教地区
が存在しています。
明確に壁などで区切られているわけでないのですが、
キリスト教地区では女性はベールをかぶっていなかったり、
雰囲気の違いは明白です。
そして、驚きはこのキリスト教の彫像。
街角に普通に設置されていますが、ここはイスラム教の国、シリアです。
偶像崇拝を固く禁じるイスラム教国において、こんなにあからさまな偶像があるのは
かなり珍しいのではないでしょうか。
それだけ他の宗教に寛容で、お互いにうまく共存できているということなのでしょう。
ダマスカスは本当に素晴らしい町ですが、今はどうなんでしょうか・・・
※本記事は2010年5月に訪問したときのものです。
現在のシリアの情勢等は外務省のホームページでご確認ください。
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【シリアの旅】まっすぐな道@ダマスカス [シリア]
シリアの首都・ダマスカスに「まっすぐな道」という名前の道があります。
地球の歩き方の地図でも「まっすぐな道」と書いてあり、
ロンリープラネットの地図でも「straight st.」と書いてあります。
アラビア語で何というのかわかりませんが、とにかく「まっすぐな道」
というまんまの名前。
ダマスカス旧市街を東西に貫くこの道は、ローマ帝国の時代に作られたもので、
wipipediaによると新約聖書にも登場する由緒ある道なのだとか。
現在はとはいえ何もない普通の道で、たしかに地図を見ても、
東西の門をまっすぐ結ぶ道はこの「まっすぐな道」だけなのですが、
目抜き通り的なものをイメージしていると拍子抜けします。
そもそもそこまでまっすぐでもなく、道幅も場所によってはそんなに広くありません。
途中スークの一部になったり、商店街の一部になったり、
紆余曲折を経て東西がつながるような、ギリギリのまっすぐさ。。
ただ、まっすぐな道を基準に、イスラム教徒地区、
ユダヤ教徒地区、キリスト教徒地区とブロック分けされているようなので、
歴史的な意味合いは何となく感じます。
日本の旧街道みたいなものなのかも?
※本記事は2010年5月に訪問したときのものです。
現在のシリアの情勢等は外務省のホームページでご確認ください。
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【シリアの旅】水飲み場コレクション@アレッポ [シリア]
イスラム圏を旅すると、よく目にするのが写真のような水飲み場。
写真はアレッポの水飲み場ですが、モスクだとかスークだとか、
あちこちにこういった水飲み場があります。
全部が全部そうなのかは不明ですが、
いわゆる「ワクフ」と言われるイスラム教の寄付行為で、
私財でこういった水飲み場を作って維持管理しているのだとか。
半ば税金的な側面もあるのでしょうが、こういうのを見ると、
つくづくイスラム教っていいなあと思います。
私自身イスラム教を信仰しているわけではないし、
これから入信したいと考えているわけでもないのですが、
イスラム教徒に生まれるということは悪くないなーと思います。
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【シリアの旅】色とりどりのアラブ菓子@アレッポ [シリア]
中近東ではイスラム教の戒律によりお酒が飲めないため、
老若男女を問わず、みんなお菓子が大好きです。
もちろん普通のスナック菓子や西洋菓子もありますが、
なんといってもおいしいのはアラブ菓子です。
アラブ菓子はアラブ菓子の専門店で売っています。
たいていケーキのようにショーケースに入って売られていて、
量り売りで購入します。
一個一個は写真のように小さく、三口ぐらいで食べられるサイズ。
形も個性的で、なんとなく和菓子と共通のセンスを感じます。
味もそれぞれ違うのですが、
「ナッツが入ったパイをシロップに漬けたもの」
というタイプが一般的。
和菓子で言うと、「餡子が入った何かを練ったもの」というのと
同じような共通点でしょうか。
そして、最大の特徴は、とにかく甘い。
人によっては甘すぎて食べられない、という人もいますが、
個人的にはこの甘さはすごく好きです。
苦いコーヒーと一緒に食べるとぴったり。
日本では全然知られていませんが、この味は日本でも
受けそうな気はします。
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【シリアの旅】アレッポのアルメニア人地区@アレッポ [シリア]
シリア第二の都市、アレッポ。
この町は「古代都市・アレッポ」として世界遺産にも登録されており
そのシンボルであるアレッポ城や巨大なスークが有名です。
ガイドブックなどでもあまり紹介されていませんが、実は
イスラム教一色のこの町に、キリスト教徒が暮らす一角があります。
しかも、キリスト教の中でもマイノリティのアルメニア正教会。
なぜこの町にアルメニア人のコミュニティがあるのか。
その背景には20世紀初頭に起こったトルコでの
アルメニア人の虐殺が関係しています。
そもそもトルコでのアルメニア人の虐殺があったということ自体
ちゃんと認識しておらず、歴史的背景の理解も浅いのですが、
ともかくトルコでアルメニア人が虐待され、そこから逃れてきた人々が
アレッポに住み着いて町を作ったようです。
現在でもアルメニア人地区は周囲のシリア人地区とは
全く雰囲気が異なり、立派な教会も建てられています。
写真のように、迷路のようにトンネルが作られた町並み。
これがアルメニア式の建築なのかどうかはわかりませんが、
独特の雰囲気があり、非常に絵になる風景です。
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【シリアの旅】旧約聖書の舞台@ダマスカス [シリア]
シリアの首都、ダマスカス。
この町は紀元前8000年ごろから人が住んでいたそうで、
今も残る世界で最も古い町と言われています。
それを物語るのが、写真のカシオン山です。
旧約聖書で登場するアダムとイブの息子、カインが弟のアベルを殺したのが
このカシオン山だと言われています。
現在のカシオン山はダマスカスの町を一望する展望スポットとして
観光客に人気があるほか、頂上には軍事施設があり、
レバノンやイスラエルをにらむ拠点にもなっています。
観光客がうろうろしていると逮捕されることもあるのだとか、、
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【シリアの旅】ペースト文化@アレッポ [シリア]
シリアに限らず、トルコ、レバノン、ヨルダンの一帯に共通する
素敵な食文化、それは「ペースト」です。
写真のようにお皿に平らに盛られたペーストが必ず食卓に登場します。
そして、地域によって種類に違いはありますが、原則パンは食べ放題。
シリアの場合はホブスと呼ばれる薄いピタパンが大量に出てきます。
ペーストは、スタンダードなのはゴマのペースト「タヒーナ」。
中国で言えば、芝麻醤みたいなもので、練りゴマにオリーブオイルなどを
混ぜたものです。
タヒーナの扱いは日本で言うとマヨネーズとかソースとかぐらいのレベルで、
スーパーなどでも大瓶でどかっと売ってます。
レストランでもかなり安く、安食堂ではタヒーナとパンだけで済ませている人もいるぐらい。
少し豪華なペーストだと、ナスが入った「ムタッバル」、
ナスや赤ピーマンが入った「ババガノージュ」、
ひよこ豆が入った「ホンモス」など、いろいろバリエーションがあります。
地域柄、あまりサラダ文化がない分、ポジションとしては
サラダのような感覚でもありますが、サラダと違って「おかず力」が高いので、
ペーストだけでパンがいくらでも食べられてしまいます。
それにしても日本の感覚では信じられないぐらいパンの扱いが大雑把です。
なにせパンはどこでも無料なので、日本のレストランでまず水が出てくるのと、
同じ感覚で、ビニール袋に入った大量のパンがバサッと束で置かれます。
それだけでなく、例えばケバブの下に敷かれていたり、
フタのように上にかぶせられたり、挙句の果てには手を拭くのに使われたり。
もちろん大量に食べ残されます。
日本では主食のごはんは伝統的にすごく丁寧に扱われていて、
茶碗にごはん粒が残っていたら、全部食べなさい、などと言われたものです。
パンも同じ主食の地位にあるはずなのにこの扱い。
全然敬意が払われていません。
なんとなく、日本の米は神様のような存在ですが、
こちらのパンはある意味空気のような存在で、
当然そこにあるべき家族のようなもの?とか思いました。
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【シリアの旅】世界遺産のメディナ@ダマスカス [シリア]
シリアの首都、ダマスカス。
この町の旧市街は世界最古の都市のひとつで、
世界遺産にも登録されています。
城壁に囲まれた広大な迷路のような旧市街=メディナは、
モロッコのフェズほどのややこしさはありませんが、
エリアによって、キリスト教徒地区やユダヤ教徒地区など
それぞれ個性があり、興味深い史跡が点在しています。
なかでも最大の見どころは、巨大なスーク(市場)です。
イスラム圏のメディナには必ずスークがありますが、
ダマスカスのスークは世界最大とも言える巨大さ。
そして特徴的なのが高い天井の屋根が付いている点。
写真のように商店街のアーケードのような屋根が
全面に張り巡らされています。
イスタンブールのグランドバザールも屋根付きですが、
ダマスカスのほうが屋根が立派でより大規模。
もちろん日本の商店街のように冷房が効いているわけではないので、
人ごみはかなり暑苦しく、決して快適とは言えませんが、
独特のエキゾチックな雰囲気がこれぞアラブという感じです。
商店の顔ぶれは、民族衣装、スパイス、コーヒー、石鹸、
ゴールドアクセサリー、香水、羊肉、アラブ菓子など、
「絵になるアイテム」から、普通のおもちゃ、普通の下着など、
「絵にならないアイテム」までさまざま。
野菜や果物などの生鮮食料品だけは場外の別の市場で
売られていますが、それ以外は何でも揃いそうな感じ。
イスラム教の聖地だからか、そもそも観光客が少ないせいか、
スークにありがちな強引な客引きもなく、
そして古い町ではありながらもきちんとメンテナンス
されているせいか、意外にもボロボロというわけではなく、
それなりにこぎれいだったりもします。
お店のなかには、現代風のおしゃれなショップもあったりして、
世界遺産という「過去の遺産」ではありつつも、
素のアラブの姿を感じることもできるスポットです。
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【シリアの旅】中世の巨大な城@アレッポ [シリア]
シリア第2の都市、アレッポ。
アレッポのシンボルが写真のアレッポ城です。
周囲2.5kmもあり、ぐるりと深い空堀に囲まれています。
城内につながるのはこの石橋の一か所のみ。
↓グーグルアースでみるとこんな感じです。
とにかく堀がすごくて、とてもじゃないけど
敵がここに侵入するのは無理そうです。
この城はもともとはヒッタイトの神殿だったそうで、その後
十字軍の攻撃を受けたりしている波乱の歴史があります。
しかし、十字軍の攻撃には耐えたのですが、
13世紀にモンゴル軍に攻められて陥落しています。
詳しくは知らないのですが、モンゴル軍はどうやって
こんな城を落としたのでしょうか。
空掘りを越えて城壁をよじ登るのは無理だと思うので、
やはり石橋を渡った城門から侵入したのでしょうか??
日本の城砦とは比べ物にならないぐらい堅牢なので、
まったく陥落のイメージが湧きませんでした。
ちなみにこの城壁を登れば、世界遺産にも
登録されているアレッポ旧市街が一望できます。
しかし、この城。
観光施設としては珍しく、定休日があります。
私が訪れた日は定休日で城内には入れず、
外からしか見ることができませんでした。
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【シリアの旅】イスラム第4の聖地@ダマスカス [シリア]
シリアの首都・ダマスカス。
この地はかのウマイヤ朝の首都でもあり、現在でもダマスカスの
ウマイヤードモスクは「イスラム第4の聖地」として、
世界中からイスラムの巡礼者が集まります。
メッカやメディアとは違い、このモスクは異教徒でも
入ることができるのですが、女性は別室で頭から
すっぽりかぶる布を身につけなければなりません。
(グレーでフードの付いた衣装なので、ねずみ男みたい・・・)
このモスクの特徴は、モスクになる以前はキリスト教の教会だったため、
外壁に、偶像崇拝を禁じるイスラム教ではあるまじき、
草木を図案化したタイル画が描かれています。
草木だけでなく楽園の風景的な都市の建物なども描かれており、
他のモスクでは感じることのできない不思議な世界観です。
ちなみに異教徒でも礼拝堂まで入ることができるため、
普段目にすることがないお祈りの風景や、
イスラムの説話の風景なども目にすることができます。
厳粛な場所なんだけど、家庭的なゆるい空気もあって、
なんとなく居心地の良い空間でした。
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【シリアの旅】アラブの王道B級グルメ@アレッポ [シリア]
アラブ諸国ではおなじみのB級グルメ、「ファラフェル」。
以前にフランスのユダヤ人街のファラフェルを紹介しましたが、
今回は本場シリアのファラフェルをご紹介します。
ファラフェル屋の目印は、写真の手前にもあるコロッケです。
たいてい店頭にうずたかく積み上げてあります。
注文すると、ホブスというピタパンを開いて、
そこにつぶしたコロッケとトマト、きゅうりを載せて、
ヨーグルトやマヨネーズをかけて、くるくると巻いてできあがり。
ピタパンが分厚くてでかいパンなので、かなりの食べ応え。
ヨーグルトとコロッケと野菜のハーモニーが美味ですが、
ひとつ食べるとかなりお腹いっぱいになります。
なのに、道端では子供も女性もみんな歩きながら
気軽にばくばく食べています。
やはり日本人とは胃袋が違うのか。すごいっす。
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